リチャーズ駐日ジャマイカ大使を学園に迎える!
関西創価中学校英語教諭、橋爪伸幸です。
今回は、ジャマイカのショーナ=ケイ・M・リチャーズ駐日大使が学園に来られた時のことを紹介したいと思います。
2024年6月19日(水)に大使を関西創価学園にお招きし、特別講演会を開催しました。
講演開始の最初は、高校吹奏楽部のエル・クンバンチェロの迫力満点の演奏が会場を包み込み、生徒たちの雰囲気が一気に盛り上がっていきました。最高の雰囲気でしたね。さすが、全国大会常連の高校吹奏楽部だったな、と誇らしく思います。
リチャーズ大使の講演会のテーマは、「Jamaica and Japan: In Partnership for Peace and Development」(ジャマイカと日本:平和と発展の為の協力に関して)です。
リチャーズ大使は、2005年外務貿易省の外交官の時に国連研修プログラムに参加し、広島を訪れたようです。その訪問こそが、大使にとってその後を決定づける瞬間であり、その後の大使の核廃絶活動の原点であったようです。
世界平和の為に精力的に活動される大使から発せられる言葉は、とても心に響くものでした。
大使は、下記の2つの点を話したいと言われました。
① The friendship and partnership between Jamaica and Japan(ジャマイカと日本の友情とパートナーシップ)
② The importance of global citizens and how to become an effective one(地球市民の重要性と、より効果的な地球市民になる為の方法)
その上で3つの学ぶべきことがあると説明。
1. Global solidarity is essential for “protecting and safeguarding life and dignity” Ikeda Daisaku from the founder.(「生命と尊厳を守る」為には、世界の連帯が必要であること(創立者池田大作氏))
2. You can make a positive difference to help build a peaceful, just, inclusive, secure and sustainable world for everyone.(私たちには全ての人たちにとって、平和的で公正で包括的で安全で持続可能な世界を築く為に、肯定的な変化を起こすことができること)
3. You have a voice. Make it heard.(私たちには声があり、それを伝える努力をすること)
①のパートナーシップに関しては、ジャマイカと日本がどれだけ繋がりのある国なのかを説明されました。
私にとっても驚く事実ばかりでした。例えば、ジャマイカと日本両国の国交は、1964年3月16日に樹立され、今年は国交樹立60周年であること。これほど長い歴史があるのだと、世界の裏側のジャマイカが近くに感じることができました。
次にジャマイカのことを、日本と比較して説明されました。
ジャマイカの国土の大きさ:秋田県ぐらい
ジャマイカの人口:280万の人口(1.2億人ほどいる日本とは規模が全く違う)
ジャマイカと日本の共通点:島国であること、地震が多いこと、そして台風が多いこと。
両国とも島国であり、他にも同様の自然災害を経験している。地理的共通性がある為、日本とジャマイカは同じような特徴と問題を持ち、同じような価値観と文化がある、と説明されました。
また、英語でJamaicaとJapanはアルファベットで隣同士であるため、国連では交流が多く、JJ(Jamaica-Japan)パートナーシップと呼んでいることを紹介されました。
このJJパートナーシップは3つ分野で協力関係にあります。
1. Cooperation of Sustainable Development(持続可能な開発の為の協力)
水資源の確保、災害復興活動がメインとして行われ、JICA(青年海外協力隊)が例えば小学校で環境プロジェクトを行ってもらっている。
2. Strong trade and investment relations(活発な貿易、投資関係)
自動車産業、電気産業、そしてコーヒー産業で特に交流が多く、自動車産業では90%のジャマイカの車はトヨタ車が運転されている。コーヒー産業では75%のジャマイカ原産ブルーマウンテンコーヒーが日本に輸出されている。
3. Active interactions in culture, education and sports(文化、教育、スポーツでの活発な交流)
文化交流では日本のNPOが楽器の寄付をジャマイカの小学校に行ってもらった。
教育交流では、多くのジャマイカの教員が2000年以降JETプログラムで日本を訪れている。
スポーツ交流では、鳥取県とジャマイカのウエストモアランド教区が姉妹提携をしている。その中で2015年8月の世界陸上北京大会に参加するジャマイカ・チームの事前合宿を鳥取県が受け入れました。あの世界最速の男、ウサイン・ボルト選手も訪れたこともある。
また心温まるエピソードは、東京五輪陸上男子110メートル障害の31歳ハンスル・パーチメント選手が準決勝試合の会場を間違えてしまったところ、その場にいた日本人ボランティアに助けられ、無事に会場に到着。その試合で金メダルを獲得し、その日本人ボランティアに感謝を伝えたようでした。その人が他の人を何の見返りもなく助ける話は、会場を温かな雰囲気に包みました。
また、ジャマイカは大阪万博に「Out of Many, One People Let’s Link Up」(多くの部族から一つの国民 つながろう)とのテーマで出展予定であることを紹介されました。是非私としても行ってジャマイカの展示を見てみたいと思いました。
ジャマイカと日本の深い繋がりを聞くことで、ジャマイカの人たちのことをより身近に感じることができました。
続いて、大きな2点目として、②「地球市民になる為の方法」について講演されました。
地球市民になる為には以下の4点が大切であると、大使は訴えられました。
1. Cultivate values of tolerance, compassion, and empathy(寛容、思いやり、共感といった価値観を養う)
2. Have an open heart and mind (開かれた心を持つ)
3. Embrace solidarity and multicultural collaboration(連帯と多文化協力を受け入れる)
4.Learn a new language(新しい言語を学ぶ)
私もそれぞれがとても大切な点であると思います。
講演の締め括りにジャマイカの伝説的なミュージシャン、ボブ・マーリーの「One Love」を全学園生と歌い、会場の一体感が大きく深まり拍手喝采となりました。
この曲を大使と学園生が一緒に歌うことで会場に大きな一体感を生まれたのは、音楽が人々をつなげる懸け橋になる、というだけでなく、大使の平和への熱い思いが会場の学園生に響き、大使への深い共感の思いが会場の一体にしたのだと感じました。それほど、大使の話は私たちの心に大きく響きました。
最後に生徒の代表から大使に、『関西創価学園友好の証』が贈られました。
その後、生徒の代表と英語での懇談会が行われ、大使は学園生のこれからの活躍に大きな期待を寄せてくださいました。本当に大感動の大使の訪問であったと思います。
後日談として、大使よりブルーマウンテン100%のコーヒー豆のお土産を教員に送ってもらい、教員たちで美味しくいただきました。
リチャーズ大使、大変にありがとうございました!!!