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ハチドリのひとしずく#21₋ビブリオバトルと10万冊の蔵書
こんにちは。
関西創価中学校教頭の上原桂です。
2月8日、今年度3回目の全校ビブリオバトルを開催しました。
本校の「ビブリオバトル」の取組みについては、先日、読売新聞オンラインにも紹介されました。
記事はこちらからお読みいただけます。
記事にもあるように、本校では年に3回、全校ビブリオバトルを開催しています。ビブリオバトルというのは、「本を通して人を知る、人を通して本を知る」をキャッチコピーに、もともとは立命館大学の谷口忠大教授の研究室で始まったものですが、今では小中学校や図書館、書店などでひろく開催されています。
本校がビブリオバトルに取り組むようになったのは、約10年前。谷口忠大先生を訪ねて「中学校でもできるでしょうか」と相談したところ、「研究室でどのようにスタートしたか」「ビブリオバトルがもたらす教育効果」など、丁寧に教えてくださいました。最初は、万葉図書館でのイベントや国語の授業の中でスタート。万葉図書館で、教員によるビブリオバトルを開催したり、テーマを「ビブリオバトル」にした研究授業を行いました。
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コロナ禍で休校のときには、オンラインで生徒たちがつながって「オンラインビブリオバトル」を開催したり、教員が「ひとりビブリオ」と銘打ち、ビブリオバトルの動画を撮って、生徒たちに配信したりもしました。
そんな中で、校内の取組みだけではあきたらず、地域の図書館で行われるビブリオバトル大会や、書店で行われるビブリオバトル大会に自ら参加する生徒もいて、「ビブリオバトル」が少しずつ定着し始めました。そして、中学校としては、学期に一度、班予選、クラス予選、学年予選を行い、予選を勝ち抜いた生徒たちで全校ビブリオバトルを行うようになりました。
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昨今、読書ばなれ、活字離れが大きな課題となっています。実際、多くの子どもたちがスマホを持ち、SNSやゲーム、Youtubeの視聴など、「活字」以外にたくさんの娯楽があるのも確かです。流れてくるものを「受動的」に見る動画の視聴(それも最近では長い動画よりも数分間のショート動画が人気のようです)と違って、どこまでも「能動的」であり「長い時間」を必要とする読書は体力、胆力がいる活動です。
すぐ近くに、より容易に、楽に、楽しめるツールがたくさんある中で、いかに「読書」の楽しさを知ってもらうか。まだまだ本校も模索中、挑戦中ではありますが、10万冊の蔵書を誇る万葉図書館が身近にあること、図書委員会を中心に生徒たち自身が主体的に「読書の楽しさ」について考える場があること、教員が本を紹介するBooknavi Weekという取り組みがあること、そして学期に1回のビブリオバトルを通して、じっくり本に向き合う時間があることなどが、本校の強みだと感じています。
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これは余談になりますが、2月8日、全校ビブリオバトルに先だって行われた生徒総会では、生徒から「万葉図書館には、世界市民になってほしいとの思いがつまっている」という発言があり、「そんな風に万葉図書館をとらえているんだ」と、驚きとともにうれしくなりました。
さて、これまでのビブリオバトルの取組みを通して、23年度の「第7回全国中学ビブリオバトル」のグランドチャンプ本(アニー・マーフィー・ポール著『脳の外で考える』)、22年度の「第9回全国高等学校ビブリオバトル」(パク・ソンヒョク著『勉強が面白くなる瞬間』)のグランドチャンプ本、23年度の「全国大学ビブリオバトル」のグランドチャンプ本(下村敦史著『同姓同名』)に輝いたのが、すべて関西創価中学校出身者でした。
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そんな先輩たちの姿にあこがれて、「次は自分も!」と挑戦している生徒たちがたくさんいること、そして先輩たちが、そんな後輩たちに惜しまず力を貸してくれることも本校の強みです。
今年度も、3月9日、立命館大学で開催される「第8回全国中学ビブリオバトル決勝大会」に本校の生徒が参加します。入場無料となっていますので、「ビブリオバトルって?」と気になった方は、ぜひ一度、中学生たちの熱いたたかいを見にきてください。
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そして6月には、受験生のみなさんにもご参加いただける「万葉図書館を体感しよう」というイベントを予定しています。
10万冊の蔵書をほこる「万葉図書館」を体感しにお越しください。
「本は知識をくれる。本は感動をくれる。本は勇気をくれる。本は思いやりをくれる。本を読む習慣さえ身につけておけば、その人の道に『希望』が消えることはない」