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ハチドリのひとしずく#11 誇れるものは何ですか?

関西創価中学校教頭の上原桂です。
先日、ある学校紹介サイトの取材を受けました。そのときに、
あらためて本校が誇れるものは何だろうと考えました。

インタビューに答える形なので、こちらの思いを一方的に語れるわけではありません。ですから、「あっ、聴いてほしいのはそこじゃなくて…」と思うこともありましたが、あらためて自分たちの学校について考えることができました。

もちろん、交野の山懐に抱かれた恵まれた自然環境と、広大な土地にひろがる校舎、10万冊の蔵書を誇る図書館など、「こんなに落ち着く場所はない」ともいえる環境や施設ももちろん大好きで、誇れるところなのですが、本校の魅力はどこまでいっても生徒であり、教職員であり、ここにいる「人」だと感じています

先日、同僚がこんな会話をしていました。
「よく考えたら、うちの先生たち、生徒のことで愚痴をこぼす人いませんね~」「たしかに!」「生徒のことでネガティブな話しにならへんよね。」「なんていい学校なんや~」「ほんと、ありがたいなぁ…」
そんな会話を耳にして、聴いているわたしもとても幸せな気持ちになりました。

そして、そんな会話の翌日にも、ささいなことですが、「いいチームで仕事をさせてもらっているな」と思う出来事がありました。

本校では、オープンキャンパスの前になると、来場者の方々にお配りする記念品の袋詰め作業をします。中高あわせて、数百人分のグッズを袋につめていくわけです。

毎回、「一人〇セットつめてくださーい!」と生徒募集部の教員から連絡があり、各自がスキマ時間に作業をします。いつもは、中学の職員室からは遠く離れた会議室が作業場だったのですが、「今回から、中学校の分は中学職員室で作業をすることにしては?」とグッズを職員室に運ぶことにしました。(昨年、中高の職員室がわかれたため、「会議室」はもとの職員室である高校職員室のまわりに集中しています)

この日、担当の職員から袋詰めのグッズの用意ができたと連絡が入ると、さっと事務室までとりにいってくれる教員たちがいて、それを職員室の奥の談話スペースに並べる教員たちがいて、「おっ、ここでやれるんですね!」「早く終わらせちゃいましょう!」と、次々に作業台のところにやってくる教員たちがいて……ワイワイいいながら、終始笑いがたえない中、あっと言う間に数百という袋詰め作業を終わらせてしまいました。

そして、袋詰めが終わったグッズを事務室に持っていくときも「僕、行きますよ」「あ~、行くよ、行くよ」と、あっという間に段ボールを抱えて歩きだす教員たち。

段ボールを抱えて歩く同僚たちを後ろからパチリ

コロナ禍で学校が休校になったときに、毎日のようにオンラインで学年の先生たちと語りあいながら、「どこで働くか」ではなくて「誰と働くか」が大事だと痛切に感じました。その気持ちは今もかわりません。何があっても生徒たちのことを見守ることができる仲間がいること、誰かが何かを始めたら「手伝うことある~?」「やるで~」と声をかけあえる仲間がいること、こんな風にチームで働けることが教員の醍醐味だなと思うことがあります。そして、これこそが本校の魅力でもあると感じます

もちろん性格も千差万別だし、教科によってそれぞれ独特の空気感はあるし、教育観、授業観、生徒観を語りはじめたら、わかりあえない部分だってあるかもしれません。それに「この世に嫌いな人はいません」なんていえるほど、聖人君子の集まりでもありません。ですが、そんな「観」の違いや、合うとか合わないをこえて「今の話って、子どもが主語になってないんじゃない?」「大事にしないといけないのは、どこまでいっても子どもたちがハッピーかどうかやと思う…」などと、日々悩み葛藤しながら、ときには失敗しても、対話をくりかえし、前進しようと挑戦を続けている、大人たちのありのままの姿こそが、生徒にとって何よりのよいロールモデルになるのではないかと感じています。きれいごとではなく、飾らず、ありのままに。そして、いつも上機嫌な背中を見せられる大人でありたいと思います。

小国士朗著「注文をまちがえる料理店」

「何かしてあげなくては」と構えるよりも、普通に会話して、大変そうに見えたらお手伝いすればいい。忘れたり間違ったりしていたら「こうしたらどうですか?」と声をかけてもいいし、ただ見守るだけでもいい。
 あとは一緒に笑ったり、楽しんだりしていれば、それでいいのかもしれないな。

『注文をまちがえる料理店』小国士朗著